人手不足が深刻化し、各地で人の獲得競争が過熱している。企業の財産となる人を集め、成長のエンジンに-。「人財」を巡る新潟県経済のルネサンス(再興)の胎動を追う。(8回続きの5)

 全国または世界を舞台に活躍してもらいます-。民間就職情報サイトに掲載された北越工業(新潟県燕市)の案内にはこう記されている。事業所の所在地は東京本社、新潟本社・工場と続く。なぜ東京本社を構えるのか。

 創業は1938年。コンプレッサーや発電機など建設、産業機械の製造販売を手がけ「AIRMAN(エアマン)」のブランド名で、国内外で市場トップクラスのシェアを占める。

 国内18カ所の事業拠点の他、米国や中国・上海などにも関連会社を持ち、世界に販売網を広げている。海外展開の加速に向け、グローバルに活躍できる人材の獲得は重要な課題となっている。

北越工業が神奈川大学で行った就職説明会=2023年11月、横浜市

 笠輪信彦・執行役員管理本部長は、東京本社を構えるメリットとして「業界団体や大手取引先が集積し、市場規模の大きさからビジネスチャンスが広がる。...

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