人手不足が深刻化し、各地で人の獲得競争が過熱している。企業の財産となる人を集め、成長のエンジンに-。「人財」を巡る新潟県経済のルネサンス(再興)の胎動を追う。(8回続きの8)

 新潟市中央区のシェアオフィスに拠点を構えるスタートアップ革新的な技術やサービスの開発に取り組み、新たな市場の開拓を目指す創業間もない企業のこと。IT関連やバイオ、宇宙など多様な分野で注目を集め、短期間に急成長を遂げる企業が出ている。ベンチャーと似た意味で使われる。創業当初は知名度が低く、金融機関の融資を受けにくいが、投資家が将来性を見込んで巨額資金を拠出するケースもある。企業「DERTA(デルタ)」。職場に人はまばらで、同僚とのやりとりは主にオンラインで行う。役員と従業員の計18人中、8割超の15人は他に本業を持ち、副業や兼業で働くためだ。空き時間を利用して週1日だけデルタで働くことも可能で、創業2年半の新興企業ながら、多彩で経験豊富な人材が集まる。

 創業者の坂井俊CEO(最高経営責任者)は副業・兼業、フリーランスといった外部の力に着目する。デルタは、起業家やクリエイターら専門性の高い人材が在籍するコミュニティーを運営。中小企業のデジタル化や新規事業開発など、依頼内容に応じて最適なチームを編成して送り込み、コンサルティングを手がける。

シェアオフィスに拠点を構えるデルタの坂井俊CEO(右)=新潟市中央区

 デジタルトランスフォーメーション(DX)が政府や大企業で進む一方、...

残り1516文字(全文:1954文字)