人口減少などで地域経済が縮小しつつある中、国内外から投資を呼び込み、地域経済を活性化できるかが課題となっている。注目されているのがファンの力だ。経営者や商品・サービスに魅力を感じ、「推し活」のような形で応援する動きが増えている。重点企画「シン誘致時代」最終シリーズは、熱意と新たな手法でファンの心をつかみ、新潟県内に資金を磁石のように引き寄せる戦略や取り組みを追う。(6回続きの3)

 「翠ペイ」利用できます-。糸魚川市にある地元資本のスーパー。レジの脇には、「翠ペイ」に対応していることを示す手作りの案内が掲げられている。

 翠ペイは電子地域通貨で、糸魚川市や糸魚川信用組合などでつくる振興協会が2024年2月に導入した。大手が電子決済サービスを広げる中、消費の域内循環、資金の地産地消による地域活性化が狙いだ。

「翠ペイ」が利用できるスーパー「ハピー奴奈川店」=糸魚川市

 案内を掲げるスーパー「ハピー奴奈川店」の本間一磨店長(37)は「現金での支払いが多い。普及は簡単ではないと思うが、取り組み自体はいい」と語る。

 翠ペイは、アプリをダウンロードすれば糸魚川市外の人も市内の加盟店で利用できる。イベントなどでの観光客の利用による「外貨獲得」も期待する。振興協会事務局、糸魚川信組の平野嘉生理事長(61)は「電子地域通貨は地域を成立させ、自立させる手段の一つだ」と力を込める。

 人口減少により地域経済が縮小する中、地銀や地域金融機関には、地域のカネや情報を環流させるハブとしての役割がより一層、求められている。

金沢駅の東口鼓門=2015年、石川県金沢市

 北国銀行(金沢市)は2024年4月、自行の預金口座と連動するデジタル地域通貨「トチカ」のサービス提供を始めた。域内で...

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