人手不足が深刻化し、各地で人の獲得競争が過熱している。企業の財産となる人を集め、成長のエンジンに-。「人財」を巡る新潟県経済のルネサンス(再興)の胎動を追う。(8回続きの7)

 「中長期的な成長を見据え、広報に力を入れた方がいい」。車載計器製造の日本精機(新潟県長岡市)は、社外取締役の富山栄子・事業創造大学院大(新潟市中央区)副学長(60)の助言を受け2022年、初めて広報部署を立ち上げた。

 世界で約1万3千人の従業員を抱え、人材を最重要の経営資源と位置付ける。グローバルマーケティングが専門の富山氏は「若い人は企業が社会にどう役立っているかを見ている」とし、発信力が人材獲得に与える影響を指摘する。

 主力製品は自動車のフロントガラスに速度などを表示するヘッドアップディスプレーなどで、企業間取引(BtoB)が中心。そのため一般向けの情報発信は新技術の発表などにとどまっていた。広報や社会的責任(CSR)活動など各部署に分散していた機能を一本化し、発信力を高めた。

 持続可能な開発目標(SDGs)2015年9月に国連サミットで採択された2030年までの国際的な目標。読み方はエスディージーズ。17のゴールと169のターゲットから構成される。貧困や不平等の撲滅、質の高い教育の確保、持続可能な生産と消費の在り方など幅広い分野に及ぶ。英語ではSustainable Development Goalsと表記される。推進、社内情報の集約、ホームページでの発信、取材対応など、役割は...

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