いつまで繰り返されるのか。またしても起こった米兵による犯罪に強い憤りを覚える。沖縄県民の怒りと不安は大きい。米軍施設が集中する現状の改善が急務だ。

 事件を約3カ月間も県に連絡しなかった外務省の対応も理解できない。政府への県民の信頼が大きく損なわれるのも仕方ない。

 在沖縄米空軍兵の男が昨年12月、沖縄県読谷村の公園で16歳未満の少女を車で誘拐、自宅に連れ込み同意なくわいせつな行為をしたとして、那覇地検が今年3月、わいせつ目的誘拐と不同意性交の罪で起訴していたと分かった。

 玉城デニー知事が「女性の尊厳を踏みにじるものだ」と述べたように断じて許すことはできない。

 沖縄では、米軍関係者の凶悪事件や性犯罪が頻発している。

 1995年に小学生女児が米兵3人に暴行された。日本側は米兵らの逮捕状を取ったが、日米地位協定により身柄を拘束できず、県民の怒りが爆発した。

 凶悪事件では起訴前の身柄引き渡しに、米側が「好意的考慮を払う」と運用が見直されたものの、決定権は今も米側にある。

 その後も、2016年に米軍属がウオーキング中の女性を性的暴行の目的で襲い殺害した。21年には海兵隊員が女性に無理やり性交しようとしけがを負わせたなど、被害は後を絶たない。

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に反対する団体の代表が「事件が起き続けるのは基地があるからだ」と語る言葉は重い。

 沖縄には今なお在日米軍専用施設の約7割が集中している。

 在日米軍再編に伴い、在沖縄米海兵隊の米領グアムへの移転が12月に始まり、順調に進めば1万9千人近くの隊員は、28年の移転完了までに約1万人に減少する。

 とはいえ、駐留米軍の縮小を求める沖縄県民の声が原動力となり、沖縄の負担軽減として日米両政府が合意したのは06年で、グアム移転の実現はあまりにも遅い。

 沖縄をはじめ米軍基地を抱える自治体から、日本側の捜査を制限する日米地位協定の改定を求める声が根強いのも当然だろう。

 信じ難いのは、起訴を受け外務省が3月末に駐日米大使に抗議しながら、県が今月25日に問い合わせるまで、外務省から県への連絡がなかったことだ。

 地元から「隠ぺい」と非難されるのも当然だ。

 外務省は、被害者のプライバシーに配慮したことなどを、連絡しなかった理由に挙げた。

 県が反対する中、国が代執行し辺野古移設工事が進められている。今月16日投開票だった沖縄県議選への影響を避けようとして知らせなかったのなら、県民の国に対する反発がさらに強まる。

 事件の再発防止の観点からも大きな問題がある。政府は猛省せねばならない。