普段できないことに挑戦したり、経験したりするチャンスだ。子どもたちには充実した日々を過ごしてもらいたい。一方、大人にはそうした機会を全ての子どもに平等に与える社会をつくることが求められる。

 夏休みのシーズンだ。小中学生には勉強や部活、スポーツ、読書、遊びなど、何ごとにも積極的に取り組んでほしい。

 将来につながる貴重な経験や、生涯心に残るキラキラした思い出ができるかもしれない。一日一日を大事に過ごしてもらいたい。

 注意してほしいのは、最近の厳しい暑さだ。あまりに暑い日は外出を控えて涼しい室内で過ごす、こまめに水分を取る。熱中症の予防に努めてほしい。規則正しい生活を送り、いつも体調を整えておくことも大事だ。

 最近は猛烈な雨が降ることもある。川に近づかないなど、十分気を付けてもらいたい。

 新型コロナウイルスがまた流行している。お祭りや旅行などで人混みの中に行くときはマスクを着け、うがいや手洗いも忘れないようにしたい。

 一方、大人が真剣に考えなければならない問題がある。貧困が子どもの夏休みに影を落としているという事実だ。

 貧困問題に取り組む東京の認定NPO法人「キッズドア」が行ったアンケート調査で、小中学生のいる困窮世帯の60%が、子どもの夏休みは「なくてよい」「今より短い方がよい」と考えていることが分かった。

 理由は「子どもが家にいると生活費がかかる」という回答が最も多く、「子どもの昼食を準備する手間や時間がかかる」「特別な体験をさせる経済的余裕がない」などと続いた。

 物価高が続き、食費や光熱費などが上がっていることが背景にある。給食がない夏休みは食事が十分に取れず、健康状態が悪化する子どももいるという。

 アンケートでは、「長期休み明けに、家族で旅行に行った友達の話を聞いてきてうらやましそうにしているので、格差を感じる」との声も寄せられた。

 子どもの成長を妨げる食や教育、体験などの格差はあってはならない。子どもに格差を感じさせる世の中であってはならない。

 厚生労働省の国民生活基礎調査によると、中間的な所得の半分に満たない家庭で暮らす18歳未満の割合「子どもの貧困率」は11・5%に上っている。

 そんな子どもたちに広く手を差し伸べたい。

 近所に困っている子どもがいるならば目配りをする。支援団体や子ども食堂、フードバンクなどに寄付をする。できることはいくらでもある。

 未来を担う子どもたちを社会全体で育てる意識を持ちたい。