連日の日本勢の快進撃が、国民に勇気と活気を与えている。惜しくも栄冠をつかめなかった選手を含め、全力で取り組む姿が感動をもたらしている。スポーツが持つ力の大きさを改めて感じる。
前回の東京五輪後に発覚した汚職・談合事件でマイナスイメージがあっただけに、五輪の魅力や醍醐味(だいごみ)を再認識した人も多いのではないだろうか。
7月26日に開幕したパリ五輪は、第7日を終えた時点で日本が金メダル8個を獲得した。銀や銅を含めると16個だ。メダルラッシュは誇らしい。
日本オリンピック委員会が目標とする海外開催では最多の金20個に向け、順調といえるだろう。
お家芸の体操や柔道は、文字通り強さを証明している。
体操の男子個人総合は、初出場で20歳の岡慎之助選手が金メダルを取り、この種目は日本勢の4大会連続制覇となった。前回覇者の橋本大輝選手にとどまらず、選手層の厚さを見せつけた。
男子団体総合では、最終種目で逆転優勝し、選手たちが歓喜の涙を流した。最後まで諦めることなく励まし合う姿に、学ぶべきことは多い。
柔道は5日連続でメダルを獲得した。男子66キロ級の阿部一二三選手と男子81キロ級の永瀬貴規選手は連覇を成し遂げた。屈強な海外勢がひしめく81キロ級での連覇は、五輪史上初の快挙でもある。
スケートボードで男子ストリートの堀米雄斗選手も連覇した。東京五輪後は振るわず、苦しんでいただけに、喜びはひとしおだ。前回に続き、土壇場で逆転する精神力の強さには驚かされる。
女子では14歳の吉沢恋(ここ)選手が金メダル、15歳の赤間凜音(りず)選手が銀メダルを取り、東京大会で種目に採用されたスケートボードは、日本の独壇場になった。
フェンシングでは、男子エペ個人で加納虹輝(こうき)選手が、個人種目では日本勢初の頂点に立った。女子フルーレ団体は銅メダルを獲得し、この競技で女子の日本勢が表彰台に立つのは個人、団体を通じて初めてだ。
後半戦の競技でも日本を大いに沸かせてほしい。本県勢の活躍も楽しみだ。
ただ、メダルを取ることが全てではない。失敗や敗北した選手にも、これまでの努力をたたえ拍手を送るべきだ。選手への誹謗(ひぼう)中傷など絶対にあってはならない。