酷暑の中でも選手たちが、はつらつと全力でプレーができる環境を整えることが大切だ。日本高野連は、時代に即した運営を模索し、改革を進めてもらいたい。
第106回全国高校野球選手権大会が7日、兵庫県西宮市の甲子園球場で開幕した。
今大会の特徴は、炎天下の時間帯でのプレーを避けるために、1日3試合が行われる日に、試合を午前と夕方に分ける「朝夕2部制」を導入したことだ。
ただ、朝夕2部制は大会3日目までの試験的なもので、4試合となる日の対策をどうするかの課題が残る。第4試合の終了が午後10時を過ぎる見込みのため、高野連は導入を見送ったという。
これを最終形にすることなく、今回の実施状況を見た上で、4試合ある日でも可能かどうかの見極めが求められる。
昨年夏から導入した、五回終了時に選手が身体を冷やし水分補給する「クーリングタイム」の回数を増やすことや、守備の時間が長くなったら小休止することなども考えてもらいたい。
近年、選手の健康を守る取り組みは加速している。
2020年には「1週間500球」の投球制限を導入し、18年から始めた延長十三回からのタイブレーク制は、昨年から延長十回からに前倒した。
さらに高野連は「7回制」について検討するワーキンググループを設置した。深刻化する暑さ対策を目的とした試合時間の短縮が狙いだ。18歳以下の国際大会では既に導入されている。
7回制にすれば、1日4試合の日でも朝夕2部制の実現可能性が高まる。投手の投球過多を抑えるといった選手の健康面などでもメリットがある。
一方で、「野球は九回まで」という考え方は根強く、「八、九回が大事」とする監督もいる。指導者や選手の声も広く聞きながら、議論してもらいたい。
大会期間をずらすといった踏み込んだ対策の検討も必要だろう。
高校野球に限ることなく重要なのは、選手を第一に考えた運営に努めることだ。
開場100年を迎えた甲子園球場の歴史の中で、球児たちのひた向きなプレーが大きな感動や元気を与えてきた。
今大会、本県からは柏崎市の新潟産大付属高校が初出場する。17年以来となる本県勢の勝利が、県民に届くよう期待している。