障害者と健常者が隔てなく、共にスポーツを楽しめる機会を広げたい。共生社会の実現を後押しする大会になることを期待する。
パリ・パラリンピックが28日開幕した。来月8日までの12日間、22競技549種目が行われる。
初めてとなるフランスでの開催に、史上最多の167カ国・地域と難民選手団の4400選手が参加する。女性選手は過去最多の2千人近くがエントリーした。比率も45%と最多となる。
パリ五輪と同じく「広く開かれた大会に」をスローガンに、開会式は史上初めて競技場外で実施された。どの選手も晴れやかな表情で行進していた。
憧れの舞台で、日頃の練習成果を思う存分に発揮するとともに、国を超えた友好も深めてほしい。
日本からは海外開催では最多の175選手が出場する。2004年のアテネ大会の52個を上回るメダル獲得が目標だ。
本県からは競泳女子で視覚障害の最も重いクラスに、上越市出身の石浦智美選手が出場する。3年前の東京大会は、出場全種目で入賞したが、目標のメダルには届かなかった。悔いを残さぬよう果敢に挑んでもらいたい。
東京大会などを通して、障害者スポーツ普及への対応は進みつつあるものの、取り組まねばならないことは多い。
共同通信社の全国自治体アンケートでは、障害者スポーツへの関心を高めるために必要な課題として、57%が「学校やイベントなどでの体験や情報発信」を挙げた。
「利用しやすい施設の整備」「指導員やボランティアの増加」などの課題も出た。
スポーツ庁の23年度の調査では、週1回以上スポーツを行っている20歳以上の割合は52・0%なのに対し、障害のある20歳以上は32・5%と少ない。
指導員の人材バンクを設け特別支援学校に派遣したり、競技用車いすや義足など用具購入費の9割を補助したりして、独自の支援をしている自治体もある。
多くの障害者がスポーツに取り組める環境を整えたい。
健常者と一緒に試合をする機会が増えているボッチャなど人気の高い競技がある一方で、認知度が低くスポンサーや支援金が集まらない競技もある。
どの競技にも国民の関心が高まり、広く根付くパリ大会になることが求められる。