多くの小中高校で夏休みが終わり、新学期が始まった。休み中に豊かな経験を積んだ子もいよう。校庭から元気な声が響いてくる。
一方、登校への不安を抱えている子はいないだろうか。大人は、子どもの日常の変化やSOSのサインを見逃すことなく、しっかりと寄り添いたい。
長期休暇明けは、不登校になる子どもが増えやすい。
大多数が学校に行くのに、どうしても行けない自分を責め、苦しんでいる子がいるかもしれない。
子どもの問題に詳しい医師は「学校は行くもので、嫌なことがあっても我慢するという風潮が根強い」と指摘する。
そうした風潮は、学校に行きたくない子にとって大きなストレスに違いない。
登校したくない理由はさまざまだ。いじめもあれば、集団行動が苦手ということもある。
大切なのは、思い悩む子どもに無理をさせないことだ。
学校から「逃げる」という選択肢もあることを、大人の側から示してあげたい。逃げてもいいと分かれば、安心感を持てるだろう。
学校以外の「居場所」を見つけることも支えになる。
不登校の子どもを受け入れる「フリースクール」では、週に何回通い、どう過ごすのか、子どもがスタッフと相談しながら決めることができる。
学校には行けるが、教室には入れない子を対象とする居場所として、空き教室を利用する「校内教育支援センター」も徐々に整備されている。
子どもが自分のペースで生活や学習ができるよう、教員らがスクールカウンセラーなどと連携して支援に当たる。
7月時点で全国の公立小中学校の46・1%に設置されている。本県は59・4%、新潟市は63・6%だ。地域での居場所づくりをさらに進めていかねばならない。
悲しいことだが、毎年、自ら命を絶つ子どもがいる。
政府の児童・生徒の自殺統計によると、月別では、8月が最も多く、9月が続いている。
子どもから苦悩を打ち明けられた大人は、否定せずに、じっくりと耳を傾けたい。
子どもには、親やきょうだい、教師、友人に明かしたくない悩みもあるかもしれない。行政や民間による相談ダイヤル、交流サイト(SNS)の相談窓口があることも、きちんと伝えたい。
つらい気持ちを吐き出すことが、笑顔を取り戻す一歩になる。
連日の残暑に加え、スマートフォンでの動画視聴などで寝不足が続き、不調を訴える子どももいるのではないか。
十分な睡眠と食事、運動によるバランスのとれた生活は、心身の健康にもつながる。規則正しい生活リズムを保ちたい。