
バブル経済全盛期、多くの老若男女でにぎわっていた新潟市中央区古町地区の地下商店街「西堀ローサ」。広場の中央で鮮やかなドレスに身を包み、ピアノを弾く1体の人形がいた。その名もロザーナ。「夢の少女」とまで呼ばれ古町活性化への期待を一身に浴びた機械仕掛けの人形は、なぜ忽然と姿を消し、今は一体どこにいるのか-。記者の追跡が始まった。
◆夢の少女、テナントには不評?!
ロザーナの行方について知っているはずと紹介されたのは、1987年ごろにローサのテナントとして入ったアパレル店の店長で、のちにローサを運営する「新潟地下開発」に入社し、総務部長兼営業開発部長を務めた金子正夫さん(65)です。
金子さんがローサに携わった時代と、1992年のローサリニューアルを機に導入されたロザーナが活躍した時代はまさにぴったり!これはいろいろと話を聞けそうな予感です♪

「最初に見たときは『なにこれ』と思ったよ」。金子さんから出てきたのは意外な台詞でした。
金子さんによると、リニューアルの際は自動ピアノが入ると聞いていたそうですが、ロザーナが現れて驚いたそうです。「顔が怖くてお化け。テナントの中でも不評だった」と笑います。
それでも思い出はたくさんあるようです。ロザーナが演奏すると人だかりができたそうです。公衆電話が近くにあり、電話を使っている人から「演奏がうるさい」と苦情が入ったことも今となってはいい思い出。
顔がリアルすぎて、営業終了後の深夜に見回りをしていた警備員が怖がっていたことも明かしてくれました。
郊外の大型店の波がじわじわと西堀ローサを襲っていたとはいえ、ローサはまだ波に乗っている時代でした。金子さんは「土日は歩けないくらい人がいた。ロザーナが置かれていたときが最盛期だったね」と懐かしそうです。

◆さらば、夢の少女
そんなローサ黄金期を支えたロザーナですが、ついに別れのときはやってきました。
2007年にロザーナがいる「出逢いの広場」を...
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