名物「くろ羊かん」と「網代焼」を持つ新野屋5代目の新野博人常務=柏崎市駅前1の新野屋
名物「くろ羊かん」と「網代焼」を持つ新野屋5代目の新野博人常務=柏崎市駅前1の新野屋

 JR柏崎駅前に店を構えて130年。新野(あらの)屋(新潟県柏崎市駅前1)は、創業時の製法を残した「くろ羊かん」と、米菓「網代焼(あじろやき)」を看板商品に歴史を刻んできた。「つくる者も食べる者もともに楽しむ」という「菓子道楽」の精神を掲げ、伝統の製法、素材にこだわった菓子づくりを続けている。

 新野屋の創業者は、片貝村(現小千谷市)出身の新野信太郎(のぶたろう)氏だ。菓子づくりが盛んな片貝で農家の末っ子として生まれた信太郎氏は、子どもの頃から菓子職人を志し、尋常小学校を卒業後に上京。でっち奉公もしながら何軒もの菓子店で技術を磨き、20歳だった1894(明治27)年、石油関連産業で栄えつつあった柏崎に店を構えた。

 新野屋の名物の一つ「くろ羊かん」は、...

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