野党第1党の党首として、他の野党をまとめ、責任ある政権政党を築き得るのか。新代表にはその手腕が問われる。
立憲民主党は23日、臨時党大会で代表選の投開票を実施し、野田佳彦元首相を新代表に選出した。
4氏が立候補した代表選は、1回目の投票で野田氏がトップだったものの過半数に届かず、2位の枝野幸男前代表との決選投票で新代表の座を獲得した。
新鮮味には欠けるが、来月にも予想される衆院解散・総選挙の顔として、経験の豊かさや安定感を期待されたのだろう。
野田氏は「本気で政権を取りに行く覚悟だ。戦いはきょうから始まる」と決意を語った。
早速、24日に新体制の骨格人事を固め、週内には衆院選に向けた政権公約を策定する「次の内閣」と、総合選挙対策本部を立ち上げる意向も示した。
野田氏に対し、旧民主党政権で臨んだ2012年総選挙で下野をもたらした張本人として反感を抱く議員もいる。次の総選挙で雪辱を果たせるか、正念場となる。
代表選のしこりも残さぬよう、党内結束を強めねばならない。
野田氏は17日間の代表選で、政権奪還に向けて、自民派閥の裏金事件で愛想を尽かした自民支持層を含む「穏健な保守層」にアプローチする姿勢を明確にした。
政治への信頼回復に関しては、「政権交代こそ最大の政治改革」とした上で、政治資金規正法を再改正し、連座制の強化や政策活動費の廃止のほか、国会議員の世襲制限などを主張した。
政策面では、消費税の逆進性を緩和するための「給付付き税額控除」の本格的導入を提案した。
原発を巡っては、原発に依存しない社会を実現すると公約に示しているが、電力安定供給への再稼働は分けて考えるとし、実効性のある避難計画や地元の理解を条件に東京電力柏崎刈羽原発などの再稼働を認める立場を取った。
代表選は、自民との違いを鮮明にして、自民に代わる政権担当能力を示せるかが注目された。しかし、重要課題では具体的なビジョンをほとんど語らなかったとの指摘も出ている。
次期衆院選は、27日に決まる自民党新総裁と野田氏のどちらが国のリーダーとしてふさわしいかを国民に問う選挙でもある。
野田氏には有権者の選択肢となるような国の明確な将来像を、丁寧に示すことが求められる。
野党間における協力関係の構築も喫緊の課題だ。衆院選小選挙区での候補者調整が急がれる。
野田氏はこれまで共産党と同じ政権は担えないとしてきた一方、就任会見で「各野党と誠意ある対話をしていく」と重ねて述べた。
本気で政権を取る上で、野党候補の一本化は不可欠だ。どう実現するか、その点も注目したい。