記録ずくめのスピードで大関へと駆け上がった。素晴らしいとしか言いようがない。心から祝福したい。角界の未来を担う関取として、最高位を目指してほしい。
日本相撲協会は25日、大相撲九州場所の番付編成会議と臨時理事会を開き、関脇大の里の大関昇進を満場一致で決めた。
22日が千秋楽だった秋場所で大の里は13勝2敗で2度目の優勝を果たし、昇進の目安とされる直近3場所合計33勝を上回る34勝に達していた。
25日の昇進伝達式では「大関の地位を汚さぬよう、唯一無二の力士を目指し、相撲道に精進します」と口上を述べた。
幕下10枚目格付け出しで初土俵を踏んでから所要9場所での大関昇進となった。昭和以降では羽黒山(新潟市西蒲区出身)と初代豊山(新発田市出身)、雅山の12場所を抜いて最速となる。
新入幕からは所要5場所で、年6場所制となった1958年以降で大鵬の6場所を超えて最速だ。
初土俵から1年半足らずで、まだ大銀杏(おおいちょう)を結えない。大関になってもちょんまげ姿であることが、大器の証明だ。
秋場所で光ったのは、力強く前に出て、立ち会いから一気に攻め切る取り口だ。時折見られたもろさは影を潜め、迷いのない取り組みが目を引いた。
特に優勝を決めた14日目は、不戦勝を除いて3戦3敗と一度も勝ったことがなかった大関豊昇龍を、立ち会いのもろ手突きから一気に押し出し、著しい成長ぶりを見せつけた。
横綱も十分狙える。明るい性格で、はきはきした受け答えなどからはスター性も見て取れる。師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)の下、角界を背負う看板力士に成長することを期待したい。
最近は大関の座を長く維持できない力士も目立つ。けがをしないための体づくりと技術向上にも努めてもらいたい。
24歳の大の里は石川県津幡町出身だ。大関昇進は、地震に続いて豪雨に見舞われた能登半島、石川県の人々に大きな勇気を与えた。
糸魚川市の能生中、海洋高で力士としての基礎をつくっており、第二の故郷である本県も喜びに沸いている。
海洋高出身では大の里の他にも幕内で白熊、十両で欧勝海、嘉陽が活躍している。九州場所でもそれぞれ奮闘してほしい。