地方の課題解決に向けて、どう取り組むのか。各候補者はビジョンを明確にして、有権者に訴えてもらいたい。

 衆院選が15日公示され、27日の投開票に向けた舌戦が始まった。

 小選挙区289、比例代表176の計465議席を巡り争う。全国で1344人が出馬し、そのうち女性候補は314人と過去最多となった。

 石破茂首相の下での自民、公明両党連立政権の信を問う選挙だ。

 最大の争点は自民派閥裏金事件を受けた「政治とカネ」への対応である。ほかに物価高への対策や地方活性化策、国際情勢が不安定化する中での安全保障関連の政策など焦点は多岐にわたる。

 いずれも国の将来に大きく関わる課題だ。各候補者の訴えに私たちは耳を澄ませたい。

 小選挙区定数が「10増10減」され、本県は6から5に減った新区割りでの初の選挙戦となる。

 小選挙区比例代表並立制で初めての衆院選が行われた1996年以降、本県の選挙区はほぼ変わっていなかったが、今回は枠組みが大きく変わった選挙区もある。

 有権者の中には自分の選挙区や候補者がよく分からないと戸惑っている人がいるかもしれない。報道や選挙公報などで改めて確認してもらいたい。

 県内では、5小選挙区に計15人が立候補した。自民4人、立憲民主党5人、日本維新の会3人、共産党1人、無所属2人だ。

 基本的にどの選挙区も与野党対決の構図で、自民系と野党第1党の立民が軸となる。

 自民は裏金事件を巡り2区の前職を公認しなかったため、擁立は4人にとどまった。2区前職は党県連推薦を受け、無所属で挑む。

 野党は共産が候補を立てた1区以外、維新を除く共闘態勢につなげた。全区に候補を立てた立民は全勝を期す。

 比例票の掘り起こしを狙う政党を含め、それぞれが何を語るのかにも注目したい。

 中でも5区は、裏金事件で党本部の戒告処分を受けた自民前職が、比例代表への重複立候補を認められなかった。立民前職は選挙区内で日本酒を供与したとして刑事告発された。

 2人には改めて有権者に丁寧に説明する姿勢が求められる。

 県内では過疎にあえぐ中山間地や離島の振興、持続可能な地域医療の再編など住民の生活と切り離せない課題がある。

 東京電力柏崎刈羽原発の再稼働問題や北朝鮮による拉致問題は国政と直結する。天候不順の影響を受けやすい農林水産業振興など待ったなしの課題が山積している。

 各候補者は日本全体の課題とともに足元の地域課題に向き合う姿勢も問われている。