地震や豪雨、豪雪などの自然災害が頻発している。気候変動により今後さらに増え、大規模になるともいわれる。
国民の生命と財産を守ることは国の責務だ。衆院選では災害から国民を守る手だてを各政党が出し合い、競ってほしい。
中越地震は23日で発生から20年となった。あの日の激しい揺れを思い出した県民も多いだろう。
この20年で災害は多発した。今年は元日に能登半島地震が起きた。8月には宮崎県沖の日向灘で地震があり、気象庁は南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を初めて発表した。9月には能登の被災地を豪雨が襲った。
相次ぐ災害を受け、多くの政党が国の防災組織の強化を公約に盛り込んでいる。
自民党は防災庁の設置を掲げた。石破茂首相肝いりの施策で、内閣の看板政策の一つだ。首相はまず内閣府防災担当の人員・予算を強化し、その後、内閣府の外局として防災庁を設け、最終的に防災省に格上げする計画を示す。
公明党も司令塔としての防災庁の設置をうたう。予知能力の向上や災害応急対策の強化を図り、災害専門官の育成を進めるとする。
れいわ新選組、社民党も同様に防災省設置を掲げている。
国の組織を強化する上で欠かせないのは被災自治体との連携だ。市町村の人員・ノウハウ不足や、人口減による地域の防災力低下をカバーする役割も期待される。
能登半島地震ではこれまでに426人の死亡が確認されている。うち本県の2人を含む199人は、被災後の心身の負担が原因の災害関連死だ。避難所の劣悪な環境による関連死も多いとされる。
自民、公明はともに、トイレやキッチン、ベッドをすぐに利用できるようにするなど、避難所の環境改善を進めると主張する。
共産党も避難所の衛生、食事、プライバシーなどを抜本的に改善するとし、日本維新の会や国民民主党なども改善を訴えている。
災害関連死は、救うことができる命だ。長く課題であった避難所の環境改善を、この衆院選を機に強力に進めるべきだ。
被災者の支援も大きな課題だ。立憲民主党と共産、れいわは被災者生活再建支援制度の拡充を唱える。立民と国民は被災者の税負担を軽減する「災害損失控除」の創設も掲げている。
災害を防ぐインフラ整備についてはほぼ全ての政党が公約で言及している。ほか、首都直下型地震に備えた首都機能の分散移転(立民)、デマ情報対策(国民)、自衛隊による民有地復旧(れいわ)なども挙がる。
災害対応は、政治のリーダーの資質によって差が生じる。私たちはその点も見極めていきたい。