全国でも際立つ惨敗ぶりだ。逆風だけが理由ではないだろう。本県の自民党は敗れた要因を徹底的に検証し、解体的な出直しをする覚悟が必要だ。

 27日に投開票された衆院選は、28日未明までに全465議席の当選者が確定した。

 自民党と公明党の与党の獲得議席は過半数の233を割り込み、計215議席にとどまった。派閥裏金事件への批判が強く、自民は公示前から65減の191議席、公明は8減の24議席となる大敗だ。

 一方、野党第1党の立憲民主党は公示前より50増の148議席に躍進した。国民民主党は21増の28議席に伸ばし、れいわ新選組も6増の9議席とした。日本維新の会は5減の38議席、共産党は2減の8議席だった。

 民主党から政権を奪還した2012年から4回続けて衆院選で勝ってきた自公政権の大きな転換点だ。数の力を背景に、強権的だったり説明不足だったりした自民政治の在り方は是正が求められる。

 石破茂首相は28日の記者会見で、政権維持に向け他党との連携を模索する考えを示した。今後の政権運営に不可欠なのだろうが、国民不在の党利党略や政策無視の数合わせに陥ってはならない。

 県内では全5小選挙区で立民の候補が勝利し、自民系は全敗した。自民全敗は、民主に政権交代した09年に当時の全6小選挙区で負けて以来だ。

 敗れた自民系は全員が解散前の現職だ。うち、公認を得て裏金事件とも無関係な3人が比例代表名簿に登載されたが、惜敗率が高くて復活したのは1人だけだった。

 敗因に「政治とカネ」の問題があることは間違いない。候補の資質など個別の事情もあるだろう。ただ出口調査などで共通して浮かび上がるのは、自民支持層を固めきれず、無党派層も十分に取り込めていない実態だ。

 集票を県議や市町村議に頼っていなかったか、逆風に負けない自前の後援組織をつくったか、有権者に真摯(しんし)に向き合っていたか。一人一人が省みる必要がある。

 全国的に自民が勝利した前回、前々回の衆院選でも本県自民は、ともに2勝4敗で負け越している。約12年にわたって閣僚が出ず、政治力の低下がいわれる。

 自民県連は組織としての反省も必要だ。国会議員ではなく県議団が実権を握る中で、旧態依然とした運営になっていないか。求められるのは、無党派層や若い世代にも支持される政策、候補をしっかり提示する取り組みだ。

 本県関係の衆院議員はこれまでの11人から7人に減る。うち自民は比例復活と比例単独で当選した計2人だけとなる。

 国政、特に政権とのパイプが細る可能性があるが、当選した立民議員にはマイナスの影響が出ないよう努めてもらいたい。