新潟サッカー史に刻まれる激闘だった。悲願の「てっぺん」にあと一歩に迫る選手たちの奮闘と快挙を、県民と共にたたえたい。

 サッカーJリーグ・YBCルヴァン・カップの決勝が2日、東京・国立競技場で行われた。J1アルビレックス新潟が、優勝経験のあるJ1名古屋グランパスにPK戦の末に敗れ、準優勝となった。

 松橋力蔵監督は試合後、「選手を誇りに思う」とし、サポーターに対しては「少しは良い景色を見せられたかな」と述べた。

 初タイトルに挑んだ新潟は決勝でもパスでつなぐ姿勢を貫いた。

 前半に2失点したものの、後半にMF谷口海斗選手が1点を返し、追加タイムでFW小見洋太選手がPKを決めて同点とした。延長前半に失点しても、後半に小見選手が同点ゴールを決めた。

 決着はPK戦にもつれこみ、4-5で惜敗した。驚異の粘り腰で、最後まで諦めない戦いぶりは県民に大きな感動をもたらした。

 多くのサポーターの声援が、選手たちを後押しした。

 雨天にもかかわらず、ルヴァン杯過去最多の6万2517人が詰めかけた。スタンドの多くが本県などから駆け付けたサポーターでオレンジ色に染められた。上越新幹線や高速バスは軒並み満席で、臨時便も出された。

 試合中はスタンドのサポーターが応援歌「アイシテルニイガタ」を歌って、選手らを鼓舞した。激闘の末に敗れて「悔しい」と落胆する一方、「誇らしい」と惜しみない拍手を送った。

 ルヴァン杯では松橋監督の選手起用と采配が光った。決勝では途中出場させた小見選手が2得点を挙げた。大会中、負傷者が出るなどしたが、適性や疲労度を見極めてやりくりし、つなぐサッカーを徹底した。手腕を評価したい。

 準々決勝、準決勝はいずれも明治安田J1リーグ戦での上位チームを撃破した。

 準々決勝では第1戦でFW長倉幹樹選手がハットトリックを達成する4得点の活躍で、J1FC町田ゼルビアを下した。長倉選手は今大会の得点王に輝いた。

 準決勝もJ1川崎フロンターレを打ち破った。

 東洋大在学中で特別指定選手のDF稲村隼翔選手がチームを支え続けたことも大きかった。

 ルヴァン杯の勢いをリーグ戦にもつなげたい。

 今季のアルビは、必ずしも順風満帆ではない。

 リーグ戦開幕前に松橋監督は「てっぺんを目指す」と宣言してスタートしたものの、リーグ戦は3日現在、勝ち点40の16位で、既に優勝の可能性は消えた。J2降格圏に近い位置にいる。

 今回の準優勝はチームにも県民にも自信になった。近い将来、ルヴァン杯でもリーグ戦でも「てっぺん」になることを期待したい。