手入れの行き届かない拙宅の庭はいつも雑草天国だ。猫の額とはいえ、草むしりは骨が折れる。当然、無報酬の労働である。いっそのこと庭などなければ、こんな手間はかからないのに。喉の奥から愚痴がわき上がる
▼家庭での除雪も無報酬の労働という点では同様だろう。雪のない地域に暮らしていれば必要のない作業だ。除雪に携わる時間の長い女性は幸せや生きがいを感じる度合いが低い。こんな調査結果が先日の紙面に載っていた
▼南魚沼、魚沼両市の40歳以上を対象に新潟大大学院が調べた。分析担当者によると女性は体力的に厳しいとか、仕事で除雪に関わる男性に比べお金になりにくいなどの背景が考えられるようだ
▼一方、男女とも除雪を全くしない人は生きがい度が低い傾向もあったという。除雪は雪国での暮らしに欠かせず家庭に貢献する作業だ。全くしない、あるいはできないような状況は生きがいの低下につながるとも考えられる
▼言われてみれば、除雪作業を終えると一種の達成感に包まれる。ほどほどの作業量なら暮らしの充実に貢献したような気分になるのかも。草むしりにも似たような部分があるのでは、と自分に言い聞かせてみる
▼新大の調査では、収穫の喜びが得られる農作業も心によい影響を及ぼしているらしい。こじつければ、草むしりも土いじりの側面があり、庭の美観につながる。手を動かしながら考え事をするにもいい。つらつら考えを巡らす時間は、この原稿につながったから良しとしたい。