1人暮らしでも安心して過ごせる社会を目指したい。増える単身世帯を孤立させないよう地域のつながりを強め、社会全体で支え合う体制を築くことが求められる。
国立社会保障・人口問題研究所が、全世帯に占める1人暮らしの割合が、26年後の2050年に27都道府県で40%を超えるとする将来推計を発表した。
65歳以上の高齢者が1人で暮らす割合は地方を中心に高くなり、本県など32道府県で20%を上回る見通しだ。
1世帯の平均人数は減少を続け、50年に1・92人となる。全世帯に占める1人暮らしの割合は全国で20年の38・0%から50年に44・3%へ上昇する。
未婚者が増え、少子高齢化で共に住む家族数も減るのが要因だ。
孤独や孤立を生まないためにはどうすればいいか。1人暮らし世帯がさらに増える前に、知見を蓄積し、支え合う仕組みを整えねばならない。
身寄りのない高齢者が増える可能性がある。地域での見守り活動や防犯対策強化、医療介護の体制整備などが重要になってくる。
県内では燕市が、受診や健康診断に長期間行っていない75歳以上の高齢者宅を訪ね、必要な医療や介護につなげ、重症化を防ぐ取り組みを進めている。
20年時点で65歳以上の1人暮らしの割合が22・4%と、県内で最も高い阿賀町は急病時の緊急通報装置の設置を支援している。
新潟市は高齢者宅で異変を見つけた宅配業者などから連絡を受けるネットワークを12年から続けており、現在の協力事業者は約350と13年度の5倍以上に増えた。
見守り活動は民生委員が担うことが多いが、なり手不足が顕在化している。マンパワーに限界がある中、自治体は各地の取り組み事例を参考に、それぞれの実情に合った対策を講じてもらいたい。
「雪下ろしは誰がやるか」といった具体的な困り事にも早めに手を打っておく必要がある。
孤立化を防ぐには、地域のつながりが大事だ。1人暮らしの高齢者が自分の情報を周囲に共有してもらうことも大切になる。
老後の施設入居や入院時に求められる身元保証人、遺体の引き取り手がいない人が増えることが懸念される。自治体に緊急連絡先を登録したり、親族と話し合ったりしておくことも重要だ。
身元保証人を求められても疎遠な親族に依頼しにくく、ケアマネジャーら第三者の仲介で引き受けてもらうケースはあるが、限界はあろう。家族や親族以外の人がどう関われるかの議論を深めることが欠かせない。
日本は家族の役割が大きかった。だが今後は高齢で1人暮らしの環境に置かれる可能性が誰にでもある。自分のこととして捉え、より良い社会づくりを考えたい。