開店をめがけて約400人が列をなした広島可部店=11月23日、広島市
開店をめがけて約400人が列をなした広島可部店=11月23日、広島市

 リユース業のハードオフコーポレーション(新潟県新発田市)は、広島可部(かべ)店(広島市)を11月23日にオープンし、国内外1000店に到達した。1993年に1号店を開いて以降、チェーン展開の先駆者として業界を引っ張ってきた。リユース文化が定着し、消費者のニーズも広がりを見せ、国内リユース市場は3兆円とも言われる。ハードオフの戦略を軸に、今後のリユース市場の展開を探った。(2回続きの1)

 開店前から並んだ約400人が、吸い込まれるように入店していく。23日にオープンした広島可部店は、オーディオ機器などを扱うハードオフ、ブランド品や家具などのオフハウス、玩具のホビーオフの3業態を併設。ゲームの掘り出し物を探す男性客や、冬物衣料など生活用品を手にする親子連れでにぎわった。

 買い物を快適に楽しめるよう、スタッフはあいさつと掃除を徹底する。アルバイトまで経営理念やサービスを浸透させることで生まれる組織の一体感が、ハードオフの強みだ。

オープン日に客が押し寄せたハードオフ・オフハウス・ホビーオフ広島可部店の店内=11月23日、広島市

 消費者の環境意識の高まりや節約志向に加え、フリマアプリのメルカリ(東京)などの参入もあり、国内リユース市場は右肩上がりに拡大している。専門メディアのリユース経済新聞による市場規模の推計は2023年に3兆円を超えた。

▽フランチャイズで店舗網拡大

 個人店が中心だった買い取り販売の業界で、チェーン展開を志した草分け的存在がハードオフだ。山本善政会長が苦境にあったオーディオ専門店を業態転換した。ブックオフコーポレーション(神奈川県)を創業した故坂本孝氏との縁から、ブックオフと統一感を持たせた店名にして両店を併設するなど、同社と共に市場を開拓してきた側面もある。

 「以前の中古品店の汚い、感じ悪いなどネガティブな印象を逆に変えればいいと思った」と、山本会長は振り返る。清潔感のある店内で、商品はきれいにして販売する。買い取り査定も、データを参照しながら丁寧に対応し透明性を高める。モノ余りの時代背景もあり、革新的なモデルとして世間に広まった。

 店舗網の拡大はフランチャイズ(FC)事業による部分も大きい。家電の知識や修理技術を生かせる業態のため、家電量販店との競争下にあった地域の電器店に魅力的に映り、FCの仕組みをつくると「駆け込み寺」のように加盟の依頼が舞い込んだ。今も店舗の半数超はFC運営だ。

▽特定ジャンル特化の店舗開発

 セカンドストリートなどを展開し店舗数で先行するゲオホールディングス(名古屋市)などの競合に加え、近年ではユニクロ(山口市)やスノーピーク(三条市)など環境配慮を打ち出す企業もリユースに取り組む。

 こうした動きも、山本会長は市場拡大やリユース意識の広がりにつながるとみる。実際にハードオフの業績は好調だ。25年3月期の連結の売上高予想は327億5千万円で、29年連続の増収を見込む。

 ただ成長市場に身を置くだけに、積極的に出店をしないと存在が埋没しかねない。ハードオフは長期目標として国内2000店、海外1000店を掲げる。

広島可部店でグループ1000店到達を祝うハードオフコーポレーションの山本善政会長(左)と山本太郎社長(中央)=11月23日、広島市

 戦略の一つが、...

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