何とか踏みとどまったものの、最終節まで残留争いが続くふがいないシーズンだった。問題がどこにあったのか徹底的に検証し、新監督の下、危機感を持って来シーズンに臨んでもらいたい。

 サッカーJ1のアルビレックス新潟は今季最終節の浦和レッズ戦を0-0で引き分け、自力での残留を決めた。20チーム中16位で今季リーグ戦を終えた。

 通算成績は10勝12分け16敗で勝ち点は42だった。松橋力蔵監督は今季、「てっぺん」を目標に掲げていただけに、がっかりしたサポーターもいることだろう。

 連勝したのは8月の1度だけで、ホームのデンカビッグスワンスタジアム(新潟市)での白星は、四つにとどまった。

 特にシーズン後半が振るわなかった。9月中旬以降は、9試合勝ち星を挙げられないまま終えた。その9試合での得点は4だったのに対し失点は19と、守備の面で大きな課題を残した。

 ハイプレスのタイミングが合わず機能不全になった。試合終盤に同点にされることも何度かあり、悔やまれる試合も目に付いた。

 アルビの持ち味は、ボールを保持しながら攻めるスタイルだ。リーグ公認の競技データによると、アルビのパス成功率は84・4%、ボール保持率は56・6%と、J1でそれぞれ1位、2位を誇る。

 しかし、決定力に欠けた。失点の多さから守備を重視せざるを得ず、アルビらしい攻撃ができなかったことも残念だ。

 時速25キロ以上で1秒以上走る回数を指すスプリント数が、個々の選手で低いことも、チームが振るわなかった一因だろう。選手の運動量を上げ、勝つ戦略を構築せねばならない。

 三大タイトルの一つであるYBCルヴァン・カップでは、初の準優勝というチームの歴史に残る輝かしい成績を収めた。

 DF早川史哉選手は「ルヴァン杯は短期決戦なので、どれだけ団結できるか。いい波に乗れた」などと語った。

 心強いのは、サポーターの後押しだ。残留を信じ、最後まで熱い声援を送った。

 松橋監督は退任する。残留争いをしたため遅れも指摘されている来季のチームの編成を、急ピッチで進める必要がある。

 来シーズンは、サポーターや県民の期待を裏切らない強い新生アルビを見せてほしい。