2回連続の打ち上げ失敗は残念だ。民間主導の宇宙開発への厳しい現実が突き付けられた。原因を解明し、次への挑戦の糧にしてもらいたい。

 宇宙事業会社スペースワンは、小型ロケット「カイロス」2号機を打ち上げたが、約3分後に飛行を中断し、ロケット自体の判断で機体を自律破壊した。

 3段式のロケットは発射後、1段目の燃焼ガスが出るノズルの動作に異常が発生し機体の姿勢が乱れた。安全飛行のために設定した範囲を外れ、自律破壊に至った。

 同社は衛星を低コストで高頻度に宇宙へ運ぶ事業に取り組み、民間単独では国内初となる衛星の軌道投入を目指している。

 3月に打ち上げられた1号機は発射直後に爆発した一方、2号機は約3分間飛行したため前進したとの見方はある。専門家は、1段目エンジンの燃焼が最後まで無事に終わっているとして「一つのハードルを越えた」としている。

 しかし衛星を運ぶという使命を果たせなかった。ノズル駆動の異常の原因などを調べ、次の機体に反映することが不可欠だ。

 近年、通信衛星の増加や安全保障の観点から、世界の衛星打ち上げビジネスは活発化している。

 世界の打ち上げ回数は2023年にロケットは212回と過去最多を更新し、人工衛星などは約2900機で10年前の14倍だ。

 23年にイーロン・マスク氏が率いる企業スペースXを抱える米国は109回、中国は67回、ロシアは19回それぞれ打ち上げたが、日本は2回と後れを取ってきた。

 民間のけん引役としてスペースワンに期待が集まっていた。失敗続きで、20年代に年間20機を打ち上げるとする同社の目標を達成できるかは見通せない。

 国産ロケットを巡るトラブルはカイロスだけではない。

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は先月、開発中の小型固体燃料ロケット「イプシロンS」の2段目エンジンを地上で燃焼させる試験で、爆発を起こした。昨年7月に続き、2回連続で失敗した。

 イプシロンSは部品などを別のロケットと共通化し、打ち上げまでの期間短縮や低コスト化を図り、世界市場で競争力を持てる価格帯を狙う。ただ参入への焦りが失敗を招くようなら本末転倒だ。

 技術力が日本にあることを示すためにも、関係者は失敗に臆することなく腰を据えて技術開発に取り組んでほしい。