少数与党が譲歩し、政治改革の取り組みは前進した。しかし課題は残っている。国会は歩みを止めず、改革を遂げてもらいたい。

 臨時国会が24日、閉幕した。焦点となった政治改革では、政治資金規正法の再改正を含む政治改革関連3法が成立した。

 使途公開不要な政策活動費を全面廃止する。政治資金を監視する第三者機関の「政治資金監視委員会」設置や、外国人による政治資金パーティー券の購入禁止などを定めた法も成立した。

 石破茂首相が年内に結論を示すとしていた政治改革に、一定の成果が示されたといえる。

 国会閉幕後の記者会見で、首相は「与野党で侃々諤々(かんかんがくがく)の議論を行い、熟議の国会にふさわしいものとなった」と評価した。

 ただ、審議の過程で、政治改革に後ろ向きな自民党の姿勢が目立ったことは指摘しておきたい。

 政策活動費では、自民は支出先の相手を非公開にできる「公開方法工夫支出」の新設を提案し、野党から「ブラックボックスだ」と批判されて撤回した。

 不透明性が問題になった政策活動費を温存するような案だった。「政治とカネ」を巡る問題の本質を理解しているとは到底いえず、撤回して当然だった。

 3法とは別に、国会議員に月額100万円が支給される調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)に、使途公開や残金返納を義務付ける内容の改正歳費法も、成立にこぎ着けた。

 旧文通費は2021年秋に問題提起されながら、自民1強下の国会では法改正が進まなかった。実現に3年もの時間を費やしたことにはあぜんとする。

 片や、政治改革関連3法は、自民が野党案を丸のみし、今国会での成立が実現した。働き控えにつながると指摘される所得税の「年収の壁」の引き上げが、与党税制改正大綱に盛り込まれたのも同様で、伯仲国会の効果といえる。

 だが企業・団体献金の扱いは、与野党が一致できなかった。公開による企業・団体献金の透明性向上を訴える自民と、禁止を求める立憲民主党などで開きがある。

 共同通信が今月行った世論調査では、企業・団体献金を「禁止するべきだ」とする回答は56・3%で、半数を超えた。

 国会は、立民などが共同提案した禁止法案について議論し、来年3月末までに結論を得るとしている。国民の声に耳を傾け、改革を進めてほしい。

 今国会では、自民派閥裏金事件を巡る政治倫理審査会が再度、開かれた。しかし一度中止された資金還流が復活した経緯などの解明には至らなかった。

 政治改革の関連法が成立したところで、裏金問題の幕引きは図れない。政治不信の払拭には、真相解明が不可欠だ。