ねたみというか、ひがみというか。冬の青空を見せつけられると少し悔しくなる。その日も、みぞれ降る灰色の空がトンネルを抜けると別世界になった。新潟から新幹線で上京する際、しばしば感じる「不条理」だ

▼年の瀬の都内は大規模なイルミネーションが随所できらめいていた。東京駅の近くで燦々(さんさん)と輝く一角を歩いた。1キロ超に及ぶ通り沿いに連なる約300本の街路樹を82万個の電球が彩っている。インスタ映えする都会の夜を謳歌(おうか)する人波に気後れした

▼国は先日、エネルギー基本計画の原案を示した。東京電力柏崎刈羽原発の再稼働も織り込む電源構成の青写真を描いた。今更言うまでもなく、柏崎刈羽で発電する電力の大半は首都圏で消費される。事故などのリスクは立地地域が負う構図は変わらない

▼都内のイルミネーションが全て東電供給の電力を使うわけではないだろう。LEDは消費電力を抑えられる。とはいえ、飽きることを知らない電力消費の象徴のように見えて、胸のつかえを感じる

▼身内を含めて新潟からも多くの人が移り住む首都圏は、決して地方と対立関係にあるわけではない。どうしても原発が必要なら東京湾に造り、使用済み核燃料は都内で処理すればいい、などと言うつもりもない

▼ただ、電気料金の抑制など再稼働で見込まれる経済効果を、首都圏から見える景色だけで捉えてもらっては困る。原発を巡る議論に立地地域が心を砕き、苦悩し、多大な労力を費やす現実に、思いを巡らせてほしい。

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