安全安心な地域づくりが第一だ。2025年は山積する課題について県民の声を丁寧に聞き、意見を調整し、臨んでもらいたい。

 今年の県政課題で焦点となるのは、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働を巡る動きだ。

 政府は東電福島第1原発事故以降、掲げていた原発依存度を低減させる方針から、原発を最大限活用する方針に転換した。

 昨年、政府が県や柏崎市、刈羽村に対して柏崎刈羽原発の再稼働に同意するよう要請し、資源エネルギー庁は県内市町村を回り再稼働の必要性などを説明している。

 柏崎刈羽原発の安全性を確認する県技術委員会は昨年末、福島事故を踏まえた報告書をまとめた。

 花角英世知事は24年度末までに報告書を受け取り、再稼働の是非を判断する材料とするが、技術委は東電が原発を運転する適格性など、委員の意見が一致しなかった項目の判断は避けている。知事がどう決断するのか注目される。

 知事は県民の意思を見極めた上で判断し「県民の信を問う」とするが、その手法は絞っていない。選択肢として知事選のほか、県議会の判断や県民投票も挙がる。

 市民団体が県民投票条例制定に向けて進めてきた署名活動は直接請求に必要な有効署名数をクリアするのは確実とみられ、3月にも請求する見込みだ。

 知事がどんな意見を付けて条例案を県議会へ出し、どのように県議会が判断するか注視したい。

 能登半島地震の復旧・復興は、本県でも遅れている。

 新潟市は液状化被害を受けたエリアで再液状化を防ぐための対策工事に着手する。ただ完了時期は見通せていない。金銭的な個人負担に不安を持つ被災者もいる。

 県や市は早く状況が改善するよう最適解を示し、国への働きかけも強めるべきだ。

 人口減対策も待ったなしだ。

 本県の昨年10月1日現在の推計人口が戦後初めて210万人を割り込んだ。知事は子育て支援や結婚支援など「やれることは全てやる」と述べている。官民で本腰を入れねばならない。

 働く場の確保も人口減対策に欠かせない。企業誘致や農林水産業の再生が重要だ。文化・歴史を生かした観光振興を通じ、交流人口や関係人口も増やしたい。

 経営が危機的状況に陥っている県立病院とJA県厚生連病院の再建は喫緊の課題だ。

 知事は昨年末、県厚生連への財政支援を表明した。持続可能な医療体制の構築に向けて知恵を絞ってもらいたい。

 今年は上越や糸魚川、十日町など7市町村で首長選、6市町で議員選が予定されている。

 住民に最も身近な選挙だ。有権者は候補の訴えをしっかりと聞き、地域を着実に前へ進めるために一票を投じてほしい。