能登半島地震で婦人服売り場の天井が落ちたイオン新潟青山店=2024年1月1日、新潟市西区(イオンリテール提供)
能登半島地震で婦人服売り場の天井が落ちたイオン新潟青山店=2024年1月1日、新潟市西区(イオンリテール提供)

 2024年1月1日の能登半島地震2024年1月1日午後4時10分ごろに発生した石川県能登地方を震源とする地震。逆断層型で、マグニチュード(M)7.6と推定される。石川県輪島市と志賀町で震度7を記録し、北海道から九州にかけて揺れを観測した。気象庁は大津波警報を発表し、沿岸部に津波が襲来した。火災が相次ぎ、輪島市では市街地が広範囲で延焼した。発生から、1年が過ぎた。新潟県内でも大きな揺れに襲われ、液状化現象が起き、津波が川をさかのぼった。初売り客でにぎわう商業施設や、正月で親戚が集まる沿岸部の集落などでは、その時、どう対応したのか。それぞれの現場で体験した「あの日」の記憶を振り返り、教訓を探る。

 立っていられないほどの揺れが続き、初売りに訪れた客も、従業員もその場にしゃがみ込んだ。2階の天井は落下し、火災報知器と、スプリンクラーが作動。2階は床も商品も水浸しになった。

 24年1月1日、新潟市西区のイオン新潟青山店。能登半島地震で安全確認が難しく午後5時、閉店を余儀なくされた。

 日用雑貨の担当課長浅川修さん(65)は1階にいた。「地震です。落ち着いてください。しゃがんで避難してください」。火災報知器が鳴り響く中、大勢の客を店外に誘導。その途中、津波警報が発令され、屋上への避難に切り替えた。

 店舗は新潟市の「津波避難ビル・津波避難場所」に指定されている。近隣住民も続々と車で駆けつけ、午後6時には1000人超が身を寄せた。

 店側は毛布やパン、オムツなど必要な物資を提供。帰れなくなった客20人が夜を明かした。

 浅川さんは「お客さまの安全を第一に、訓練の通りに動いた。混乱なく対応できた」と振り返る。

 店は2階を中心に、...

残り1076文字(全文:1637文字)