欠航やトラブルが続いては信頼低下を招く。確実なサービス提供へ整備体制を万全にし、安全で安定した運航に努めてもらいたい。

 新潟空港を拠点とする格安航空会社トキエア(新潟市東区)は、保有機の損傷で昨年12月中旬から欠航が相次いだ。

 札幌(丘珠(おかだま))線、仙台線、名古屋(中部国際)線の3路線を保有2機で運航してきた。

 2号機が昨年12月に飛行中の落雷で損傷し、残った1号機でダイヤを縮小して運航してきたが、今月6日の点検で主翼の一部に損傷が確認され、7~14日の8日間は全便欠航となった。

 一連の予約客への影響人数は約3500人だった。書き入れ時の年末年始に欠航が相次いだことは残念だ。経営的にも痛手だろう。

 欠航が長引いたのはトキエアは手持ちの機材が少ない上、新潟空港の悪天候などで整備に時間を要したためだ。国内に屋内の整備施設を保有していない事情がある。

 改善策として、計画的に整備作業が進められるように愛知県の中部国際空港にある岡山航空(岡山市)の格納庫を借用する。

 交換が必要な部品の海外からの調達にも時間を要したことを教訓に、交換頻度の高い部品の予備を備蓄する対策も進めるという。

 1号機の修理を終え、15日から3路線の運航を部分的に再開した。21日から従来の2機体制による通常運航に戻すとしている。

 15日に会見した長谷川政樹社長は「マイナスからのスタートになる」と謝罪した。信頼回復に向け、安全性と定時性の確保に全力を挙げてほしい。

 トキエアは今月末で札幌線の就航から1年となる。路線網拡充に備え、3月末から新たに3号機を稼働させる計画だ。

 3月末の新潟-神戸線就航を目指している。さらに新潟・佐渡と首都圏を結ぶ便の運航に向け、今夏ダイヤで成田空港の発着枠を確保できる見通しになっている。

 成田からインバウンド(訪日客)を呼び込むことができれば、地域経済活性化の夢も広がる。

 観光庁によると、昨年の訪日客による消費額が、2010年の統計開始後初めて8兆円を超えた。増加ペースは加速しそうな勢いだ。これまで都市部に集中していた消費の恩恵を、今後は本県など地方にも波及させる必要がある。

 トキエアの安定運航や路線網拡充とともに、本県観光の魅力を高める取り組みも官民で進めたい。