
接客する加藤百合子さん=佐渡市両津夷
新潟県佐渡市の玄関口、両津地区で宿泊客や地元民に親しまれてきた「居酒屋しらつゆ」が、2024年限りでのれんを下ろした。こぢんまりとした店内で、浜直送の海の幸を生かした刺身や、焼き魚など家庭料理が評判だった。女将(おかみ)の加藤百合子さん(74)は「喜んでくれるお客さんをもっと喜ばせたいと思い、続けてこられた30年だった」と振り返った。
能登半島地震による損傷と老朽化により、現在の建物での営業が難しくなった。移転も考えたが、「年齢、体力的に体が持たない」と感じ、区切りを付けた。
店は元すし屋だった空き店舗を漁師の夫隆さん(74)が見つけ、開業を勧めたのが始まりだ。百合子さんは飲食業は未経験で迷いがあった。それでも、隆さんに「主婦の家庭料理でいいんだよ」と背中を押され、1994年に店を開いた。
店内は、カウンターや小上がりの計20席ほど。漁師の夫が提供する新鮮な魚の刺身や焼き物が評判で、開店当初から繁盛した。名物は「沖汁」。船上で...
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