少数与党が厳しい国会運営を迫られることは間違いない。熟議を重ねて政策を深め、国民の期待に応える政治を実現できるか。与野党の力量が試される。

 石破茂政権にとって初となる通常国会が24日、召集される。会期は150日間で、延長がなければ6月22日が会期末となる。

 夏には参院選が予定され、有権者が1票を投じる上でも、注目される国会になるはずだ。

 政府は日本の針路を明確に示さねばならない。国会は物価高にあえぐ暮らしの安定に向けて、真摯(しんし)な議論を交わしてもらいたい。

 石破首相は、召集日の施政方針演説で、看板政策とする「地方創生2・0」の目的を「地域の持つ潜在力を最大限引き出し、多極分散型の多様な経済社会の構築」だと説明するもようだ。

 政府機関の地方移転を推進するほか、防災庁を創設し、防災を新たな産業の柱にするという。賃上げ実現を掲げた経済政策や、急速な少子高齢化に伴う社会保障制度改革も、大きな論点となる。

 日本全体の地域づくりや、私たち一人一人の生活に影響する課題ばかりだ。首相は国民に届く、熱のある言葉で語ってほしい。

 国会前半の焦点は2025年度予算案の成否だ。3月中の成立には3月2日までに衆院を通過する必要がある。与党が過半数に届かず、野党の賛成が欠かせない。

 25年度の国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)は赤字となり、目標だった黒字化は達成できない見通しだ。

 将来的な財政健全化に道筋を付けるためにも、与野党は予算案に無駄はないか目を凝らし、きっちりと議論してもらいたい。

 予算案に理解を得るため、教育無償化を掲げる日本維新の会や、「年収103万円の壁」引き上げの協議を続行する国民民主党など野党と、与党との攻防が予想される。開かれた透明性のある議論となることを期待したい。

 「政治とカネ」の問題も審議が続く。自民党の裏金問題では、野党が旧安倍派会計責任者の衆院予算委員会への参考人招致を要求しており、一つの注目点となる。

 党派閥に続き、東京都議会でも自民の政治団体で裏金疑惑が噴出し、政治資金規正法違反罪で会計担当職員が略式起訴された。カネの問題が国会に限らず、党内に巣くっていることを示すものだ。

 与野党は3月末までに企業・団体献金を巡る問題に結論を得るとしている。実効性のある対策を打ち出し、今度こそ政治とカネの問題に決別しなくてはならない。

 選択的夫婦別姓については、立憲民主党が他の野党と導入法案を提出する方針で、自民の対応が最大の焦点になっている。

 将来へ希望の持てる社会となるように、与野党は国民の声を反映した議論を進めてもらいたい。