コメはコシヒカリが一番。長年こう思ってきた県民は多いのでは。コメ王国の本県で、おいしいコメの代名詞だった。だが、国内最大規模の品評会の結果に驚いた
▼昨年12月に開かれた米・食味分析鑑定コンクール国際大会。最高賞18点のうち、コシヒカリは本県産の2点を含む4点にとどまった。この品種の占有率は約2割。2019年までは毎年6~9割を占めてきた。しかし20年は3割に落ち、一時持ち直したが、直近2年は2割台だ
▼品評会の評価が全てでないとはいえ何とも寂しい。大会結果を報じた本紙記事には、主催団体の講評が載っていた。「猛暑の影響で従来品種、特にコシヒカリの品質や食味値が低くなっている」という。ここにも温暖化の影響が…と、ため息が出る
▼取って代わって品評会を席巻するのは「ゆうだい21」という品種だ。宇都宮大学が開発し、10年に品種登録した。14年から金賞の中に顔を出し始め、23、24年には5割以上を占めた。粒の大きさや粘り気が特長で、暑さに強いとされる
▼大学発といえば、本県にも「新大コシヒカリ」がある。新潟大学が開発し、20年に品種登録した。やはり暑さに強いというから温暖化の中でもコシヒカリの良さが守られるのだろう。本県が誇るブランドの、新たな担い手として期待できそうだ
▼ただ、まだ収量が少なく、広く流通していない。本格的な普及が待ち遠しい。暑さに耐性がある「新之助」と並び、コメ王国を背負って立つツートップに育ってもらいたい。