
JAえちご上越(新潟県上越市)が旧JAひすい(糸魚川市)と合併して3月1日で1年となる。上越地域一円を管内に収め、糸魚川では販売面や米の品ぞろえ強化などでスケールメリットを生かした効果が出ている。米が品薄となった2024年夏の「令和の米騒動」では管内で融通して直売所の品薄を乗り切った。ただ、産地間競争や担い手の高齢化など農業を巡る構造的な課題は厳然と横たわっており、合併効果を発揮して産地をどうリードしていくのか。新JAの模索は続く。
糸魚川市産の農作物が多く並ぶJA直売所ひすい食彩館(糸魚川市)。24年春ごろから米を求めて市内外から多くの客が訪れ、糸魚川市産「新之助」の在庫が7月上旬段階で払底してしまった。
栽培基準が厳しい「新之助」は、1等米しか名乗ることを許されていない。それだけに一定の品質が保証されている新之助は食彩館の中でも人気が高い。「品切れさせる訳にはいかない」と頼ったのが上越市産だった。
合併前は農協間での取引だったが、一つのJAとなったことで調達がスムーズになった。1カ月以上店頭に並び、全国的な社会問題となった「令和の米騒動」が始まっても顧客の需要に応えることができた。
米以外でも、自然薯(じねんじょ)などは糸魚川産の収量が足りない時期に上越側から補っている。生産者が食彩館のほか、上越市の「あるるん畑」など管内にある複数の直売所に商品を供給することも可能になった。食彩館の本間守店長(45)は「品数の確保やラインアップの充実など相乗効果を生み出している」と説明する。
▽「猛暑に負けない」変わる米作りの現場
米作りの現場も変化している。糸魚川では今シーズンから、暑さに強い新品種の「にじのきらめき」の作付けが始まる。旧JAえちご上越で従来力を入れていた品種だ。
糸魚川は...