
昨秋発生した鳥インフルエンザの際に行われた埋却作業。養鶏場の経営にとって埋却地の確保が課題になっている=2024年11月、胎内市(新潟県提供)
2023年1月に高病原性鳥インフルエンザが確認され、約130万羽を殺処分した新潟県村上市の養鶏場が再開を断念し、2024年末に閉鎖した。地域住民の合意を得られず、操業再開に必要な埋却地を確保できなかったためだ。住民の反対理由の一つが地下水の汚染への懸念だった。今回の件で埋却地の確保が養鶏場を運営する際のハードルにもなり得ることを示した。(村上支局長・土田潤、新発田総局・小柳香葉子)
県によると、鳥インフル発生後に埋却地が確保できないことを理由に再開を断念した養鶏場は県内で初めて。国の飼養衛生管理基準には、養鶏場は埋却地など処分場所を確保することが定められている。23年の国の統計で新潟県は採卵用の85農場全てで確保されていた。
過去に鳥インフルが確認された県内のある養鶏場では、十分な敷地があり、次の発生に備える埋却場所が確保できた。ただ、この養鶏場の男性従業員は「また発生した場合、地下水を心配する声が上がるかもしれない」と心配する。
実際、村上市の養鶏場で鳥インフルが発生した直後に県が開催した住民説明会では、地下水の汚染を心配する質疑が相次いだ。その後、運営会社は操業再開を目指し、村上市内10カ所以上を新たな埋却候補地として検討したが、地元合意を得られなかった。
同意しなかった集落の区長は...
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