
岡英太郎さん
温暖化を背景に、近年の日本周辺で猛暑や豪雨・豪雪、魚種の変化が起きる中、全国の研究者が「ハビタブル日本」というプロジェクトに挑んでいる。3月6~8日には新潟大学(新潟市西区)に約160人が集まり、意見交換会を開いた。日本の温和な気候、豊かな水、水産資源は今後も持続するのか-。居住可能性(ハビタブル)を探るプロジェクトの領域代表で、東大大気海洋研究所教授の岡英太郎さん(54)に海の現状や研究の意義を聞いた。(報道部・江森美奈子)
-日本周辺では猛暑や豪雨・豪雪が相次ぎ、海では魚種が変わり、漁業者を悩ませています。
「温暖化が海でも進んでいる。日本近海の海面水温は2023年までの100年で平均1・28度上昇した。世界平均は0・6度なので2倍のスピードだ」
「海の熱容量(温まりにくさ)は大気の1000倍。海水温のちょっとした上昇は大気に大きな変化をもたらす。海から大気への熱や水蒸気の供給量が増え、猛暑、豪雨・豪雪といった災害が頻度を増している。気象庁が命名した気象災害は03年までの50年間が約3年に1回だったが、04〜23年の20年間は約1・3年に1回だ」
「太平洋側では...
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