アカモク(手前)と、牛の胃を再現した瓶を使った培養実験をする山下舞さん=三条市の県畜産研究センター(写真映像部・佐藤将志)
アカモク(手前)と、牛の胃を再現した瓶を使った培養実験をする山下舞さん=三条市の県畜産研究センター(写真映像部・佐藤将志)

 牛に海藻を食べさせると、牛のゲップに含まれ、地球温暖化の一因とされるメタンを減らせるのでは-。新潟県で育つ海藻を使い、削減効果を調べる研究が県農業総合研究所畜産研究センター(三条市)で進む。瓶内の培養実験では、餌の2割を海藻に替えたと想定。メタンを4割程度減らす効果がみられた。センターは「海藻に含まれるポリフェノールが影響しているのでは」と分析する。ただ本当に牛が海藻を食べるかや、肉や乳の品質の検証はこれからで課題は少なくない。(報道部・江森美奈子)

 牛が餌を消化する時、胃の中の微生物「メタン古細菌」の発酵作用で、メタンを含むガスが発生する。これがゲップだ。メタンは二酸化炭素(CO2)の28倍に上る温暖化効果があり、削減が課題となっている。

 農林水産省によると、2022年度の日本の温室効果ガスの総排出量(二酸化炭素換算)は11億3500万トンで、農林水産分野は4・2%に当たる4790万トンを出している。このうち牛のゲップを含む「家畜の消化管内発酵」は5分の1に相当する866万トンだ。

 メタンの削減策を巡っては、亜熱帯性の海藻「カギケノリ」を牛の飼料に混ぜて与えると、効果を発揮するという先行研究がある。

 県水産海洋研究所(新潟市西区)は...

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