課題を残したままでの開幕となった。来場者の安全を第一に、混乱のない運営が不可欠だ。多くの人に訪れてもらえるよう機運醸成も図っていきたい。
大阪・関西万博が13日、大阪市の人工島・夢洲(ゆめしま)で開幕する。日本国際博覧会協会は、10月13日までの期間中、約2820万人の来場者を見込む。
万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」だ。アンドロイドや「空飛ぶクルマ」といった最先端技術に触れるなどして、持続性、多様性のある社会を考えるきっかけとしたい。
「万博の華」とされる海外パビリオンには、158カ国・地域と七つの国際機関が出展する。ただ、完成が間に合わないパビリオンが複数出たことは残念だ。
資材高騰などで施工業者との契約難航による着工遅れが主な要因とされる。開幕ムードに水を差す恐れがある。
協会は過去の国内万博が大混雑したことを教訓に、事前予約制で「並ばない」万博をアピールしているものの、心もとない。
3日間にわたり実施した予行演習では、入場ゲートに最長1時間半待ちの混雑が発生した。手荷物検査に手間取ったからだ。
そのため会場につながる駅階段の通行を一時停止したところ、駅構内に人が滞留した。雑踏事故を招きかねなかった。
パビリオンでは、煩雑な予約システムを理由に予約を諦める人が続出した一方で、予約不要の展示館には長蛇の列ができた。
想定が甘かったと言わざるを得ない。改善を急がねばならない。
安全面では、労働安全衛生規則の基準値を超える濃度のメタンガスが検知されたことも気がかりだ。昨年3月には、地中から発生したガスに溶接作業の火花が引火する爆発事故も起きた。
災害への備えも欠かせない。会場までのアクセスは3ルートに限られ、巨大地震が発生すると遮断される可能性がある。十分な備蓄が必要だ。会場は大半が屋外のため、熱中症対策も大切だ。
共同通信社が3月に実施した世論調査で、万博に「行きたいと思う」との回答は24・6%で、関心は依然低い。会場の楽しさや展示品の魅力などを広く発信し、盛り上がっていくよう努めたい。
本県は「ヒスイ」の常設展示のほか、食をテーマにしたイベントなどを行う。世界各地から訪れる人たちに、本県の良さをしっかりアピールしたい。