大型連休のさなか、街に出た。皆マスク姿ではあるけれど、ずいぶんにぎわっていた。カレンダーには赤い数字の祝日が並ぶ。多くの企業や学校は休みだが、大勢の人が休日を享受できるのも働く人がいるからだ
▼バスや電車はいつものように走っている。イベント会場では係員が笑顔でお客を呼び込む。スーパーではレジの担当が品物の値段を素早く読み取った。遠くから救急車の音が聞こえてきた。暮らしは日ごろと変わらずに保たれている
▼ウイルス禍の下で「エッセンシャルワーカー」という言葉が注目を集めた。医療や物流など社会の維持に不可欠な職に従事する人を指す。感染リスクがある中でも懸命に働く姿に多くの人が敬意と感謝の念を抱いた
▼一方で、それ以外の分野で働く人の中には「自分の仕事は社会に不可欠ではないのか」と引け目のような思いを抱いた人もいたと聞く。自分の仕事に社会的な意義を見つけられず、居心地の悪さを感じたらしい
▼しかし、必要のない仕事などないはずだ。犯罪に該当するなどの例外を除けば、どの仕事も社会を形づくる重要な存在だろう。多くの人が休んでいる時期は誰かの働きに対するありがたさを一層感じる。11月の勤労感謝の日ならずとも働く人に敬意を払いたい
▼ことしの大型連休も最終盤。多くの人が楽しい時間を過ごせますように。久々に書き入れ時が訪れた人は商いが繁盛しますように。そして、人々の休日を支えた方は別の日にしっかり休みを満喫できますように。