この春、新社会人になった多くの若者が初任給を手にしたことだろう。ゴールデンウイークのさなか、あれを買おう、あそこへ出かけたいと、ワクワクしている姿はほほ笑ましい
▼この1、2年は初任給を大幅に引き上げるニュースをよく耳にする。大和ハウス工業は一律10万円引き上げ、大卒は35万円にした。東京海上日動火災保険は転勤に同意して遠隔地で勤務した場合、2026年4月入社から大卒は最大約41万円にアップする
▼県内企業も頑張っている。第四北越銀行は2年連続で引き上げた。今年は3万円アップで大卒は25万円だ。そのほかの県内企業も1万~3万円引き上げ、22万円台にする動きが出ている
▼帝国データバンクの全国調査では、回答した企業の7割が初任給を引き上げるとした。平均9114円のアップという。多くの企業の背中を押すのは人手不足による採用難だ。中小企業も大手に引き離されないよう、賃上げを決断する傾向が強くなっている
▼バブル経済崩壊後の「失われた30年」に社会に出た世代にはうらやましがられる話だろう。特に就職氷河期世代は複雑な心中かもしれない。「給料に見合った働きができるようにならないと給料泥棒だぞ」と言ったら中高年のやっかみか
▼新社会人になった若者は仕事だけでなく、先輩らの名前や性格を必死に覚える時期だ。大きく成長してほしいし、育ててくれた周囲に感謝する謙虚さも持ってほしい。初任給と同様、期待値も引き上げられている。お忘れなく。