「絶好の撮影スポットを特急が走らなくなっちゃった。残念の一言」。糸魚川市の鉄道写真家が今春のJR東日本のダイヤ改正を嘆いている
▼市に隣接する長野県小谷村の南小谷駅まで来ていた新宿発着の特急あずさが、大糸線の4駅首都圏寄りの白馬駅で折り返しになった。改正前は山々を背景に鉄橋を走る姿を捉えられる場所が複数あったという
▼あずさは松本駅から大糸線に乗り入れ、南小谷との間を1日1往復した。さらに北へ8駅目が糸魚川駅。大糸線の沿線自治体が利用促進に注力している最中だ。単なる特急の区間短縮ではなく、路線の行方に影響しかねないと懸念も広がる。小谷村の中村義明村長は村のホームページであずさを重要な観光資源と位置付け、改正を「到底受け入れられない」と憤りをにじませた
▼糸魚川市の担当者は代替ルートという観点で南小谷乗り入れ中止を疑問視する。東北新幹線で連結が外れるトラブルが続発し、上越、北陸両新幹線も運休したのは記憶に新しい。「首都圏と糸魚川を結ぶ路線を細らせてしまうのは問題だ」
▼白馬はインバウンド(訪日客)の増加に沸く。JR東長野支社は区間短縮と同時にあずさの白馬駅出発時刻も早め、白馬の来訪者は利便性が増すとしている
▼が、大糸線沿線の自治体でつくる「期成同盟会」は先日の総会で、JR東にあずさの再延伸を働きかけると決めた。白馬以北の沿線住民には少なからず影響はある。今回のダイヤ改正、正しく改めているのか、どうか。