緑がようやく濃くなってきた中越地方の里山でシイタケの駒打ち作業を体験した。自然保護のボランティア仲間から指導を受けてナラのほだ木にドリルで穴を開け、シイタケの菌が塗られた長さ2センチほどの木の駒を木づちで打ち込んだ

▼原木栽培のシイタケは歯ごたえのよさ、香りの強さが特徴だという。作業を終えて背を伸ばし、「秋の収穫が楽しみ」と話すと、「夏を2回越してようやく収穫できるんだよ」とリーダーに諭された。自然の中のキノコは時間をかけて成長する

▼かつて山間地域では自家用に栽培していた民家も多かった。日陰の森に何本ものほだ木を組んで、秋や春に収穫する。県森林研究所によると、時間と労力がかかる原木栽培が大きく減ったのは平成の頃から

▼栽培技術が進み、屋内で温度や湿度を管理し年中収穫できる菌床栽培が普及したのが一因だとか。いまも県内で原木栽培に取り組んでいるのは佐渡市や阿賀野市などの生産者だという

▼最近、シイタケ栽培でユニークな実験結果が注目されている。干しシイタケの生産量で日本一の大分県が、ほだ木をハンマーで10回たたくと収量が倍になることを確かめた。詳しいメカニズムは不明だが、実際に試した生産者は効果に驚いている

▼大分では温暖化の影響で、冬場のシイタケの収量が減っており、県は実験結果を生産者の経営安定につなげたいとしている。雪国の新潟でも「トントン効果」があるか確かめてみようか。足元の自然には不思議がいっぱいある。

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