スポーツ感覚でごみ拾いに取り組む「スポーツごみ拾い」をご存じだろうか。「スポGOMI」の名称で、各地で大会も開かれている。チームを組み、決められたエリアで制限時間内に拾ったごみの種類と量を、ポイントで競う

▼先日、この手法を取り入れた地域のごみ拾いに参加した。分別用の袋とトングを手に歩くと、菓子の袋やペットボトル、空き缶などが次々とたまる。小さいながらも目立ったのは、たばこの吸い殻だ。植栽や側溝の周辺に多くたまっていた

▼多数が利用する施設を、原則屋内禁煙とする改正健康増進法の施行後、全館禁煙の建物が増えた。屋外の喫煙所では、雨にも負けず風にも負けず、煙をくゆらせる愛煙家の姿を目にする

▼その肩身は年々、狭くなっているようだ。厚生労働省の調査によると、たばこを習慣的に吸う20歳以上の男女の割合は、2022年に14・8%と、過去最低を更新した

▼こちらは配慮不足と言えるのだろう。会場内を全面禁煙としていた関西・大阪万博が、一転して喫煙所の設置を決めた。喫煙所が会場外の2カ所だけとあまりに不便で、会場内の建物の陰に隠れて吸うルール違反が相次いでいた

▼「いのち」をテーマに掲げた万博の理念に逆らうという批判もある。だが東京ドーム33個分の広さがある会場で、喫煙所が場外2カ所はいささか酷だ。愛煙家も嫌煙家も互いに理解したい。もちろん、吸い殻のポイ捨ては厳に慎まなくては。きょう5月30日は語呂合わせで「ごみゼロの日」。

朗読日報抄とは?