西に高気圧、東に低気圧が位置する気圧配置を「西高東低」と言う。本県など日本海側に寒気をもたらす冬型の典型である。高校野球の勢力図もひと頃は「西高東低」と評された

▼プロ野球界は「投高打低」の傾向が強まっている。好打者の条件である打率3割超えの選手がめっきり減った。セ、パ両リーグの個人打撃10傑を見ると、ひと昔前は3割打者で占められていたが、打率2割台の選手も多く入ってくるようになった

▼一方で、かつて球速150キロの投手が速球派とされたが、いまは160キロに迫る選手も珍しくない。科学的なトレーニングや球の回転数を細かく計測できる機器の発達などが投手力アップの要因だとされる

▼横浜DeNAベイスターズのオーナーで新潟市中央区出身の南場智子さんは、この傾向がプロ野球人気にも影響しかねないと心配する。息詰まる投手戦にも魅力はあるが、ある程度「打高投低」の方がファンにとって盛り上がりやすいと指摘する

▼「○高○低」は政界でも使われる。安倍晋三元首相が「1強」と呼ばれた時代は「政高党低」と言える。首相官邸を中心に政府が重要政策を決め、与党がそれに従う構図だ

▼田中角栄元首相が「闇将軍」として時の政権を牛耳っていた時代は「党高政低」だろうか。政府と与党のどちらが優位でも構わないが、国民の声に謙虚に耳を傾ける政治であってほしい。石破政権はどうだろう。生活者の懐に「西高東低」の寒波が押し寄せるような政治は、勘弁してほしい。

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