感染禍で外食を控えている間に小さな変化が起きていた。仕事帰りに手軽に夕飯を済ませようと立ち寄ったファミリーレストランで、配膳ロボットがフロアを縦横に動き回っていた
▼料理を載せてやってきたのはネコ型の顔をしたロボットだ。テーブルの脇でぴたっと止まり「お待たせしました」。客が棚から料理の皿を下ろすと「ありがとうにゃ」と言って去った。周囲には多くのテーブルが並ぶのに、注文を間違えることもない
▼改めてフロアを見渡すと、人間の店員さんは以前より少なくなったようだ。配膳ロボットの導入には感染禍での非接触ニーズの高まりや人手不足の解消が背景にある。深刻な人手不足は外食産業の回復傾向に水を差す要因の一つという
▼2050年には人工知能(AI)やロボットで代替しやすい事務職は今より4割減る-。経済産業省は産業構造の変化に対応した人材育成を目指す「未来人材戦略」で約30年後の日本をそう見通した。その頃には生産年齢人口が現在の3分の2に減っているという
▼デジタル化や脱炭素化で構造改革が進み、人間に求められる能力は今の日本で重視されている責任感やまじめさから、問題を見つける力や的確な予測力、革新性へと変わっていくらしい
▼未来の社会で鍵を握るのはニーズに応じた問題解決力を持てるかどうか。いつも問題を解決してくれる頼もしい存在といえばあのネコ型ロボット…。そう「ドラえもん」だ。人間は今後、ドラえもんになる必要があるのかも。