主従生まない具象絵画

 俳優・鈴木京香さんは自身が出演した映画のインタビューで、三谷幸喜さんの脚本を、それぞれが皆、主人公で、通りすがりの人でも、とてもかわいらしいキャラクターになっている、と評しています。私がjunaida(ジュナイダ)さんの作品で思い出したのはこの言葉でした。

 具象絵画では必ず主と従が生まれます。肖像画であれば、人物が主で、それ以外は従となります。画家は全てが主になるような作品を求めて抽象絵画に行き着きました。もし、具象絵画で主従を解消しようとすれば、ジュナイダさんが描くような、そんな世界もまた一つの形なのだと思います。

 例えば、絵本デビュー作にあたる文字のない絵本「Michi」(2018年)で...

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