
館霞舫「磯辺鶴亀図」
地域の隠れた秀作に光
旧巻町(現新潟市西蒲区)の著名な文人といえば、幕末の三筆と称される巻菱湖(まき・りょうこ)、次に菱湖の血族に当たる館柳湾(たち・りゅうわん)が挙げられる。両者については、これまでにも顕彰の企画が催されてきた。今回も楷書美の極致といえる菱湖書「前後赤壁賦(ぜんごせきへきのふ)」に加え、柳湾作は子息の霞舫(かほう)との合作など数点を出品する。
一方、今回の展覧会では、地域の隠れた人々の発掘に目標を設け、準備に取り組んできた。
画人では伊東伯陽(はくよう)と丸山翠城(すいじょう)がいる。その作品を比べると大正期の伯陽作には漢詩と書が付き、翠城の戦後作の方はサインのみ。このように時代の移ろいによって...
残り883文字(全文:1183文字)