先日の本紙にこんな見出しが。「働き続けるシニア 『老害』化防ぐには」。同僚の間でも、ひとしきり話題になった。皆、そう呼ばれることを恐れているらしい
▼過去の実績をかさに着て威圧的な態度を取る、時代錯誤の言動で若手の取り組みを阻害する-。特定の顔が思い浮かぶ方もいるだろうか。組織や家庭の中でこんな場面になると「老害」扱いされることがある。先達をさげすむような嫌な言葉だが、現役世代にすれば迷惑この上ない
▼本人はよかれと思っているようだから始末が悪い。聞き流そうにも「お前のためを思って言っているのに」などと、かえって言動に拍車がかかることさえある。自由な発想を妨げ、一種のハラスメントにもなりかねない
▼冒頭で掲げた見出しの記事によると、相手への敬意の有無が「老害」化するかどうかの分かれ道という。求められた以上に助言しようとして、余計なことを口走る失敗例も紹介していた
▼一方、高齢者がいわれのない非難を浴びることもある。レジで支払いに時間がかかる人を揶揄(やゆ)するような行為は「いじめ」と言っていい。心身の衰えが引き起こす問題は迷惑行為とは明らかに異なる。人生の先輩への敬意を欠いてはなるまい
▼何かをする時、高齢だからと遠慮する必要などはない。周囲に迷惑をかけないよう心がけるのは、どの年代でも共通のマナーだ。誰もが年を取る。誰もが「老害」に陥る恐れがある。だからこそ、他者を思いやる姿勢を忘れたくない。自戒を込めて。