コメの概算金
コメの概算金

 小泉進次郎農相が全国農業協同組合中央会(JA全中)の山野徹会長らに対し、コメの集荷にあたり、仮渡し金(概算金)制度から買い取りに見直すよう要請したことに、新潟県内のJA関係者からは一様に戸惑いの声が聞かれた。識者は仮渡し金の利点を挙げつつ、今後JAが買い取り価格も選択肢として生産者に提示する動きにつながる可能性もあると指摘する。

 「小泉大臣は仮渡し金の仕組みをどこまで理解しているのか」。下越地域のJA幹部は疑問を口にした。

 コメの主産県である新潟県は、年間を通じてコメを全国に供給する。県内のコメ流通関係者によると、各地域JAやJA全農県本部は、卸と年間の販売数量を決めて契約する。価格は固定せずに上限と下限を決め、1年の中の出荷時期によって変動する契約が多いという。最終的にいくらで売れ、経費がいくらだったか確定するのに1年以上かかるのはこのためだ。

 前述のJA幹部は「1年に1回しか取れないコメを、通年で安定して売っていくための仕組み」と説明する。出荷から1年以上たってから精算金として追加払いされるが、「仮渡し金と精算金を合わせれば、民間の買い取り価格と同等かそれ以上になる年もある」と話す。

 一方、新潟市内の生産法人の代表は「JAはコメを売り切ることだけ考えて、われわれの生産コストを考えてこなかった」と不信感をあらわにする。

 小泉農相は直接買い取りに見直せば、意欲のある農家の手取りが増え、コメの生産拡大につながると訴えた。

 「大規模化が進み、経営の見通しを立てるため、買い取りを希望する生産者もいる」と県内JA関係者は打ち明ける。小泉農相は...

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