この日を〈迎えるたびに、てっぺんに達した観覧車のゴンドラを思い浮かべます〉。一年で最も高く太陽が昇り、最も昼が長い日を、フリーライターの本間美加子さんはそう表現した。今日はその夏至である
▼北半球では太陽光の入射角が最大となり、降り注ぐ太陽エネルギーは頂点に達する。冬至に比べ昼が4時間から5時間程長い。ただ例年は梅雨もあり、最も暑い時季は少し先になる
▼陸地や海の表面温度が上昇してくれば、気温はぐんぐん上がる。県内での高気温ランクの上位は圧倒的に8月の観測で、最も高い40・8度を胎内市で記録したのも、2018年の8月23日だった
▼ところが今年は早くも、このうんざりする暑さだ。17日から県内は各地で気温30度を超える真夏日となっている。梅雨前線はいつの間にか天気図から消えうせた。どこまで暑くなるのかと身構える
▼これから熱量を増していくのは、こちらもか。通常国会が22日に閉会し、参院選モードに突入する。各党の選挙公約が出始めているが、何だか顧客獲得を競い合うサービス合戦のような雰囲気が漂ってはいないか
▼止めどない物価高はこたえる。実質賃金は上がらない。給付金も減税も実現すればありがたいが、それが投票の決め手になるのだろうか。「米百俵の精神」よりも、今は目の前のコメ5キロ袋の方が求められているのだろうか。切実な願いに誠実に応じる論戦に立ち会いたい。猛暑の夏は困るけれど、政治への諦めで冷めきった夏よりはよほどいい。