勝利が求められる中で、思うように白星を挙げることができなかった監督の責任は大きい。解任はやむを得ないだろう。

 新監督の下でチーム全員の奮起を促したい。残り試合をがむしゃらに勝ちにいき、J1残留を果たしてもらいたい。

 サッカーJ1アルビレックス新潟は、樹森大介監督との契約を解除したと発表した。成績不振による事実上の解任となる。後任には入江徹コーチが就任した。

 アルビはこれまでの今季リーグ戦、4勝7分け9敗の勝ち点19で、J2降格圏の18位と低迷している。中野幸夫社長は記者会見で「J2降格圏を早く抜け出し、一つでも高い位置に行くため」と監督交代の理由を語った。

 今季のアルビは、ほぼずっと降格圏を抜け出せずにいる。監督交代は、クラブとしての降格への強い危機感の表れだ。

 今シーズン監督に就いた樹森氏は「新潟史上最高」を目標に掲げ臨んだものの、2月の開幕から8試合勝つことができず、クラブワースト記録に並んだ。

 ホームのデンカビッグスワン(新潟市中央区)での初勝利は、5月下旬までずれ込んだ。

 樹森氏は、これまでのボールを保持するスタイルを継続したが、選手に意図がうまく伝わらないことがあったという。選手から「どういうサッカーがしたいのか毎試合違う」といった不満も漏れた。

 勝てずに求心力が低下し、樹森氏では選手を引っ張っていく上で物足りなさがあったようだ。

 Jリーグトップチームでの監督経験がない樹森氏の起用を、クラブ側は「新しい風を入れたい」としていただけに、残念な結果に終わったといえる。

 監督就任が昨年末と遅れたことや、実績のある選手を加えなかったことなど、クラブ側にも低迷の責任はあるはずだ。

 新たに指揮を執る入江氏は、下部組織を含めてアルビでの指導歴が長い。樹森氏の下でコーチを務めており、チームの課題を熟知しているに違いない。弱点を補って、勝てるチームへと変えていかねばならない。

 長年アルビでプレーし「ミスターアルビレックス」と呼ばれた本間勲氏がコーチとして指導にあたることは、心強いだろう。

 今後は選手の補強も欠かせない。主力FW小見洋太選手が抜けたほか、ルーキーDF稲村隼翔選手の海外移籍も取り沙汰され、戦力低下が懸念されているからだ。

 中野社長は「当初予算より使ってでも、J1に残ることを優先したい」とし、補強を検討する考えを示している。急いでほしい。

 入江監督の初戦は25日、アウェーでの川崎戦だ。必ず勝って、後半戦の巻き返しを図らねばならない。私たちも残留を信じ、最後まで応援を続けたい。