静岡県出身の人が胸を張って話す。「静岡から見た方がきれいですよ」と。日本一の山、富士山だ。山梨県側から見るよりもお薦めと言う
▼静岡側からは海と一緒に眺められる。標高3776メートルの最高地点である剣ケ峰が見える。宝永大噴火で誕生した宝永山がはっきり見えるなどなど、文字通り山のように魅力があるという
▼山梨県出身の人に聞けば、違う魅力を山ほど教えてくれるだろう。本県で言えば、米山だ。柏崎から見る山の姿も、上越から望む山容もそれぞれに愛されている。郷土自慢はほほえましい
▼心に留めておきたいこともある。見る場所と立ち位置が変われば、見え方も感じ方も変わることだ。例えば、細田博之衆院議長が自民党議員のパーティーで述べた発言だ。歳費が月100万円未満の国会議員を増やしても「罰は当たらない」と述べた。その上で議長の歳費も少ないとし、上場企業の社長は「1億円もらう」とうらやんだ
▼いつも接している人は高給取りばかりなのだろう。国民の心中こそ忖度(そんたく)すればいいのにと思うが、そうはいかないようだ。大会社トップの懐は気になっても、庶民の気持ちは推し測れないのかもしれない
▼細田氏は三権の長の1人だ。立法府を代表する立場の人物が月額100万円を少ないと感じているとは。リーダーを務める人はさまざまな立場の人を思いやってほしいが、高望みなのか。知事選、参院選と大きな選挙が続く。選ばれるためには有権者からの見え方に気を配った方がいい。